ETロボコンにおけるコンセプトの例
本記事はETロボコン Advent Calendar 2017の3日目のエントリです。
みなさん、コンセプトシートは好きですかー!?
かくいう私も2011〜2013年に選手としてETロボコンに参加して、毎年のようにコンセプトシートを書いていました。コンセプトシートって「モデルの補足資料」「モデルのサマリ」という印象があって、ついつい後回しにしがちですよね?モデル図が5枚仕上がってからコンセプトシートに着手したり(私だけ?)
本来は最初にコンセプトがあって、コンセプトに沿った戦略やモデルが或るべきなのでしょう。でも、実際のところコンセプトを考えてみてもどこかで聞いたことのあるコンセプトだったり、経験が少ないとどんなコンセプトにしたら良いのかわからないといったことが起こってしまいます。
そこで、本記事では私自身の知見の範囲で、思いつくコンセプトを列挙して、ポエムの如く書き綴ってみます。
速く走行する
真っ先に思いつく王道コンセプト。
〇〇秒以内に走行する、のように具体的な数字を含めると説得力が増す。そのためには理論上、何秒以内に走破できるのか根拠を持った見積もりが必要である。この辺りは過去モデルを参考にするとよい。
個人的には「速く走行する≒美しくライントレースする」だと考える。美しくライントレースする工夫がモデルに表現されていると良い。バランスAPIのチューニングも速く走行することに寄与するかもしれない。
近年は競技規約に「韋駄天」という要素が加わったことで、「速く走行することを評価する」という原点に回帰しつつある。
安全に走行する
「速く走行する」の対極に位置するコンセプト。
何年か前のCS大会では、コースコンディションの影響か完走チーム数が非常に少ない事態に陥り、安全に走行することで好成績を収めた事例もある。ゆっくり走れば安全に走行できることはあたりまえなので、如何に速度を維持したまま安全に走行するかが肝となる。
操作ミスを防止したり、走行毎の誤差を減らす工夫、モータやセンサの故障防止・検知など、モデルに反映できる要素が多く、意外とアピールしやすい。
安全な走行を阻害する要因を洗い出す手段としてFTAによる分析を行うチームも多い。
難所攻略に全力を注ぐ
難所、特に立体難所はETロボコンの見所といえる。
一時期はシーソーや階段といった立体難所が鎮座していたが、近年は新幹線や後述のゲームをいかにクリアするかがポイントである。個人的にはガレージや駐車場を一発でクリアすると、会場が大いに盛り上がるのでおすすめである。
難所攻略もモデルでアピールしやすいポイントだろう。難所の構成要素・攻略手順を分析して、モデルに落とし込んでいくと、難所の本質が見えてきて面白い。
ショートカットする
元祖・ルールの抜け穴?のショートカット。
一時期はルールの縛りがきつく、ショートカットが困難であったが、近年はショートカットルートを残す風潮に回帰しているような気がする。ショートカットは一見簡単だが正確に走る・曲がる・止まることが前提となるため、意外と難しい。
ポイントはやはりどこでショートカットするのか?相手チームの走行体と接触するリスクがある場合、それをどう回避するか?だろう。リスクを想定してしっかり対策することが要求されるコンセプトといえる。
美しいモデルを追求する
「美しいモデル」の定義が難しいが、一つの解としては「変更に強いモデル」だろうか?
工夫してモデル設計していても審査員が気付かない可能性もある(本来そのようなことはあってほしくないが)ので、コンセプトシートにコンセプトと工夫点を明記することは、モデルで入賞を狙うチームにはぜひ実践していただきたい。
楽に開発する
何年か前に関西地区の某チームが掲げたコンセプトである。
本気でETロボコンに臨んでいるチームは活動が深夜に及ぶこともある。設計やツールを工夫して開発工数を削減する努力をしているのであればそれは立派なコンセプトといえるだろう。
C/C++以外の言語で挑戦する
あえて、C/C++よりも性能面で懸念のあるJavaやmrubyを使って競技部門を制覇する、という野心の溢れるコンセプトである。
実際のところ、C/C++よりもUML→ソースコードの落とし込みが楽だったり、保守しやすかったりするというメリットもあるので、C/C++よりも不利とは一概には言えない面もある。
ツールを充実させる
ログ取得や走行軌跡描画を行うツールを充実させるというコンセプトである。もしくは難所を何回も自動的にトライするツール(冶具)を作るケースもある。
ルールの抜け穴を狙う
ルールの抜け穴を狙って他チームを圧倒するというコンセプトである。近年では駅のスイッチを操作して新幹線を止める、といった抜け穴を狙うケースなどが該当する。
実行委員が意図した抜け穴であれば特に問題はないが、意図していない&審判の意見が割れるような抜け穴は、狙ったポイントを得られないリスクもある。事前に「これは抜け穴ですか?」とMLで問い合わせるのも手だが、それは同時に他チームにも抜け穴の存在を周知してしまうというジレンマもある。
エンターテイメント性を重視する
音やダンスで観客を魅了するコンセプトである。
当然ながら、競技には何のメリットもないが、だからこそ魅力を感じる人も多い。(多分)
トレンドの技術を取り入れる
近年だとやはりAIだろうか?
まとめ
思いつく限りで書き出してみましたが、まだまだ斬新かつ共感を得られるコンセプトがあるかもしれません。コンセプトに沿ってモデルや戦略が練られていると読み手に伝わりやすいですし、一貫性も高まります。好成績を残すための第一歩となりますので、ぜひ来年に向けて自分のチームは何をコンセプトに活動するのか、考えてみてはいかがでしょうか?
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