『技術記事を書く技術 ITエンジニアの価値を高めるアウトプットのすべて』は技術記事との向き合い方を再確認する1冊だった
はじめに
2026年4月に発売された書籍『技術記事を書く技術 ITエンジニアの価値を高めるアウトプットのすべて』を購入しました。
GW期間中にじっくりと読ませていただきました。 本のタイトルの通り「技術記事を書く技術」が多数解説されていることはもちろん、伊藤さんの技術記事に対する考え方が随所に詰まった一冊でした。 読み進めていく中で「自分はなぜ技術記事を書くのか」ということを、立ち止まって考えるきっかけにもなりました。
自分自身が本書を通して学んだことを記録するとともに、より多くの方に手にとってもらえたらと思い、感想を書き残します。
印象に残った箇所
「第1章〜第4章」は新人エンジニアに読ませたい内容
本書の序盤は初めて技術記事を書く人向けに、記事を書く目的の説明から始まり、ユーザーIDの作成からMarkdown記法といった記事を書き慣れた人からすると「すでに知っているであろう内容」が丁寧に解説されています。
ただ、これはブログ全盛期にインターネットに触れてエンジニアになった我々だからこそそう感じるのかもしれません。 実際、新人エンジニアの中にも最初の1記事をすぐに出せる人と、本人なりにさまざまなことを悩みながら時間をかけて1記事を出す人がいると感じています。
後者が必ずしも悪というわけではないものの、「なんとなくハードルが高い」と感じて躊躇してしまったり、記事の内容以外のところで悩んだりするのはもったいないところです。 第1章〜第4章はそうした人を後押しするとても良い内容でした。
「第5章 見出し・タイトルの技術」は自分も真似したい
私自身、技術記事を書くようになって約13年経ちます。 注) きちんとエビデンスをとるため このブログの最古の記事 を確認したところ、2013年11月23日に書かれていました。
そのような私も、記事を書く際の見出しやタイトルには未だに悩みます。 悩んでいますし、実際のところ「あまりいい見出しやタイトルを付けられていないんだろうな」という実感もありました。
第5章では見出しやタイトルにおけるポイントやテクニックが紹介されています。 自分にとっても、目から鱗が落ちるような内容でした。
ここについては、さっそく本記事でも実践しています。 いつもの記事と比較して変化が見られるでしょうか?
「第8章 文章を読みやすくする技術」はテクニカルライティングをさっと拾える内容
第8章はいわゆる「テクニカルライティング」として語られる内容でした。 Webで公開される記事に特化してポイントを取り上げている点が本書ならではだと感じました。
私自身、なんとなく良くないことを知りつつもやってしまっている書き方がいくつか取り上げられていました。 文章に対する自分の伸びしろを感じる章でした。
「第13章 アウトプットの幅を広げる技術」を読み、技術記事の可能性を感じる
第13章の中でも特に後半の部分では、「技術記事をきっかけにアウトプットができるようになったら、こういうアウトプットの形もあるよ」といった内容が書かれています。 エンジニアがアウトプットをする場面はいろいろあるものの、技術記事がその第一歩で、そこからいろいろな活動につながっていく可能性があることを再確認させられました。
ここもどちらかというと新人エンジニアに読んでほしい章ですね。
「付録A」をぜひ読んでほしい
出版社のページや目次には記載がないため、詳しくは書きませんが「付録A」が個人的に一番腹落ちしたというか、しっくりきた部分です。 後述する「自分はなぜ技術記事を書くのか」にも通ずる学びがありました。
購入してぜひ読んでみてください。
2026年5月8日追記
付録Aについては「引用や抜粋はご自由にどうぞ」との記載がありました。 「生成AI時代に、人間が記事を書く理由を考えてみた」というタイトルで伊藤さんの考えが書かれています。
ちなみに「付録A」は「生成AI時代に、人間が記事を書く理由を考えてみた」というタイトルのエッセイです。
— Junichi Ito (伊藤淳一) (@jnchito) 2026年5月7日
付録Aは「引用や抜粋はご自由にどうぞ」というスタンスなので、書評やSNSでガンガンシェアしてもらって大丈夫です! #技術記事を書く技術 pic.twitter.com/9C5iuc8FZu
本書と出会うまで
伊藤さんとの出会い
本書の著者である伊藤淳一さんを、私が最初に認識したのは Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門 を読んだときです。 発売直後に購入したので2014年、つまり今から12年ほど前になります。
当時はまだ組込みエンジニアをしていて、お仕事ではC言語を書いていました。 「テスト駆動開発」というワードを私の身の回りでもちらほら耳にするようになった頃であり、そして私自身が mruby に触れるようになった頃でもあります。 テストやRubyのことをもっと知りたいと思い Everyday Rails - RSpecによるRailsテスト入門 を購入したのですが、「なんてわかりやすい本なんだ」と感嘆したことを今でも覚えています。 すぐにX(当時はTwitter)でフォローさせていただき、 ブログ の読者になりました。
それから3年ほど経過し、プロを目指す人のためのRuby入門 の初版が発売されたのは、私がちょうど今勤めている会社から内定をもらったタイミングでした。 業界もプログラミング言語も変わる、思い切った転職だったのですが、本書のおかげでRubyらしいコードを早い段階でキャッチアップできました。
その後、きっかけがあり フィヨルドブートキャンプ のメンターをさせていただくことになり、同じメンターという立場で毎月オンライン上で顔を合わせるようになりました。 そこでも伊藤さんが書かれたドキュメントやコードレビューを拝見して、メンターをしながら自分自身もかなり勉強をさせていただきました。
『技術記事を書く技術 ITエンジニアの価値を高めるアウトプットのすべて』が発売される
このように、私自身、さまざまな場面で伊藤さんのアウトプットに助けてもらってきました。 そんな伊藤さんが新作の本を発売されたとのことで、 RubyKaigi 2026 の本屋さんで本書を購入させていただきました。
ちょうどサイン会が開催されていて、ありがたいことにサインもいただきました。 ちなみに、伊藤さんと直接お会いしたのはこのときが初めてでした。
初めてお会いできて良かったです!
— yuuu (@Y_uuu) 2026年4月26日
ちょうど #技術記事を書く技術 を読み始めたので読了したら感想文を書きます📝 https://t.co/fCut8gFPAD
本書との出会いを簡潔に書き綴るつもりが、とても長文になってしまいました。 あらためて、今回も自分の道しるべとなりうる本を書いていただいたことに、深く感謝したいです。
なぜ技術記事を書くのか
生成AIがプログラミングに関するさまざまな問題を解決してくれるようになりつつある今、なぜ技術記事を書くのか、正直なところ明確な解を自分は持っていませんでした。 本書を読んで「そうだよな〜」と思ったことが2つあります。
自分自身の備忘録となる
これは日記のような感覚に近いかもしれません。 数年前の自分がどういう技術に興味を持っていて、どういう課題に直面し、それをどうやって解決したのか、よほど印象に残るものでない限り思い出すのは困難です。 技術記事を読むと、過去の自分にタイムスリップできます。
たまたま同じ問題に再度直面しそれを解決できた、というシチュエーションも何度かあります。 しかしそれ以上に最近多いのは、自分の後輩が何かにつまずいたときに「エンジニア◯年目の頃、自分もこういう点につまずいていたな〜」と、後輩の視点を知るヒントになるケースです。 こうした使い方は自分自身で技術記事を書いていないと得られず、自分で技術記事を書く意義の一つです。
技術記事をきっかけにつながりが生まれる
自分の場合は技術書典への出展が一例です。 技術記事を書く延長線で、「もう少ししっかりした記事を書いて、それを本にしたい」という気持ちがわいてきました。 逆に技術記事というステップを踏まなければ本を書こうとは思わなかったでしょうし、仮に思ったとしても自分で文章を書くことは難しかったと想像します。
似たような話で、技術記事を書いていなければいくつかの登壇は実現していなかった可能性もあります。 そうした登壇がなければ、今やっているOSSのコントリビュートにもたどり着いていなかったかもしれません。 つまり、私の今のさまざまな活動の原点が技術記事だったことに、本書を読んで気づかされました。
まとめ
以上が『技術記事を書く技術 ITエンジニアの価値を高めるアウトプットのすべて』を読んだ私の感想です。 これから技術記事を書く人はもちろん、すでに技術記事を書いている人にも学びや気づきを与えてくれる本でした。
ぜひ読んでみてください。
