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学んだことを書き綴る、言わば航海日誌です。

三色ボールペンで読むETロボコン競技規約

これは、ETロボコン Advent Calendar 2014 - Adventarの 17日目のエントリーです。

ETロボコンの競技規約を読むときに三色ボールペンを使うことのメリットをまとめます。

競技規約を正しく理解するために三色ボールペンを使う

ETロボコンの競技規約は年々複雑化しています。ただ読むだけでは意図を誤って理解してしまったり、理解に漏れが生じやすいです。

このため、三色ボールペンを使うことで「重要な箇所」「まぁ重要な箇所」「興味を抱いた箇所」を整理し、後から読み返した時にわかりやすくします。

三色ボールペンの使い方

三色ボールペンを使った仕様書の読み方」は数年前から話題に挙がっており、知っている人は知っている技術です。

三色ボールペンで読む仕様書(1) - たまゆら雑記

書籍では「ソフトウェアテスト技法ドリル」で取り上げられています。

ソフトウェアテスト技法ドリル―テスト設計の考え方と実際

ソフトウェアテスト技法ドリル―テスト設計の考え方と実際

簡単に言うと、仕様書を読みながら重要な箇所、興味を抱いた箇所にアンダーラインや丸をつけるという方法です。ただし、筆記には三色ボールペンを使用し、

  • 赤:重要な箇所
  • 青:まぁ、重要な箇所
  • 緑:興味を抱いた箇所、疑問に思った箇所

という風に色を使い分けます。これによって、「仕様書を読んだ時にどう感じたか?どう理解したか?」を後からでもひと目で確認できます。

ETロボコン2013競技規約での例

ETロボコン2013の競技規約を読む場合に三色ボールペンを使ってみた例です。あくまでも私が実践した例なので、これが正解というわけではありません。

対象は下記文章*1とします。

走行体がガレージへ進入後、ガレージ空間内に収まっている状況で完全停止を規定時間継続した場合に、ガレージ停止のボーナスタイムを獲得できる。規定時間は 3 秒とする。完全停止時の走行体の向きは自由とする。

なお、イン・ガレージ停止のボーナスタイムはイン・スタートラインから走行する参加チームが、アウト・ガレージ停止のボーナスタイムはアウト・スタートラインから走行する参加チームが 1 度のみ獲得できる。

これに対して三色ボールペンで追記したものが下記です。

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特に気になった点を分析しました。

「収まっている」をどうやって判定するのか?

「ガレージ空間」で文書内検索をかけましたが、言葉として説明されている箇所はありませんでした。「図 10-16 ガレージ停止の概要」内にガレージ空間を示す図を見つけたため、「この図で示された空間内に収まっていることを審判が目視で判定する」と理解しました。

「完全停止」とは?

「完全停止」で文書内検索をかけたところ、別のページで解説されていました。

走行体の完全停止とは、走行体に接続されている全てのモータが回っていない状態とする。

つまり、左右のタイヤが回転していなくても、尻尾が動いていると完全停止とはみなされないわけです。

こういった、別のページで詳細が説明されているケースは、記述を見逃しやすいパターンです。疑問に思った単語を逃さないよう、メモできるのが三色ボールペンの効能と言えるでしょう。

走行体の向きは自由とする

後ろ向きで進入して、そのまま完全停止してもOKということです。

プライマリークラスのインコースでは、ガレージの直前にフィギュア Lが存在します。フィギュアLのステージから降りる際、「転倒を防止するために後ろ向きで降りる」という戦略がしばしば用いられます。後ろ向きで降りた後、方向転換する必要が無いことがこの文章から読み取れました。

できればチーム全員で実践

自分以外のメンバーのメモを見ると、自分とは違った観点・認識であることに気づくでしょう。できれば複数人でメモを持ち寄って、回し読みすることをオススメします。

「正しく理解する」ために

競技規約を読むとき、どうしても「ルールに抜け穴はないかな?」という目で見てしまいがちです。が、三色ボールペンでメモしながら読むときは「書き手の意図を正しく理解する」ことに重点を置きましょう。

正しく理解せずに、いきなり抜け穴を見つけようとすると、大会本番になって「そんなルールがあったのか!?」と足元を掬われがちです。そんなことのないように、まずは正しく理解して、それから抜け穴を探すと良いでしょう。

*1:ETロボコン2014 デベロッパ部門競技規約 1.0.0「10.12.7. イン・ガレージ停止、アウト・ガレージ停止(プライマリークラスのみ対象)」より引用