.logbook

学んだことを書き綴る、言わば航海日誌です。

RubyKaigi 2026に参加&登壇した

2026年4月22日(水)〜24(金)にかけて北海道函館市で開催されたRubyKaigi 2026に参加してきました。

rubykaigi.org

RubyKaigiへの参加は2018, 2019, 2023, 2024, 2025に続いて6回目です。 毎回、自分が所属している会社である 株式会社Fusic に交通費・宿泊費等を支援してもらっており、感謝しています。

また昨年に引き続き、Day 3に「 PicoRuby for IoT: Connecting to the Cloud with MQTT 」というテーマで登壇もしました。

Road to RubyKaigi 2026

今年のRubyKaigiはDay 0以前が大変だった人が多いかと思います。そして私もその一人です。

当初の予定だとDay 0に飛行機で福岡→羽田→函館という移動を予定していました。しかし当日の朝、家を出る直前にYahooニュースを見たところ「羽田空港で管制システムトラブル」というニュースが。

嫌な予感を抱えつつ福岡空港に移動し、JALの受け付けカウンターに行ったものの、そもそも受け付けがSTOPしている状況でした。 福岡空港で2時間ほど立ち往生し、正午前の飛行機でなんとか羽田まで移動しました。

しかし、羽田→函館の飛行機は欠航となり、次の飛行機も動くかどうかわからないと言われました。 今回は同僚と5人で移動していて動いたとしても全員振替えられるかわからない、その時に手を打っても遅いかもしれないと思い、早々に陸路に切り替えました。

というわけでDay 0の22時にようやく函館に到着しました。 Day 0にたどり着けていなかったら、Keynoteやはすみさんの発表は見られなかった可能性もあったわけで、陸路に切り替えて正解だったように思います。

それにしてもこれまでで最も長い、RubyKaigiへの道のりでした。

聴講

Funicular: A Browser App Framework Powered by PicoRuby.WASM

https://rubykaigi.org/2026/presentations/hasumikin.html

Funicular については GitHubリポジトリ の動きを見ていたので、事前にある程度把握した状態でトークを聴きました。 ブラウザ上での情操教育(Lチカ)から始まり、PicoRuby.WASMではTaskスケジューラの仕組みがあるためブラウザ上でもSleepができる話、 Funicular の話という順番で進んでいきました。

ブラウザ上でデバッグする環境が充実しつつあることも嬉しかったですね。近々試してみたい。

あとデモの数がすごかったです。ブラウザとデバイスが連動するデモを見て、モノとインターネットの距離がますます縮んでいることを再度実感させられました。 また、Full-Stack Rubyと言われていたとおり、ブラウザもサーバーサイドもRubyを使って開発することも夢ではないと感じました。

Keeping Ruby Running on Cygwin

https://rubykaigi.org/2026/presentations/fd0.html

前職の研修でCygwinを使っていたので懐かしくなって聴きに行きました。 個人的には、今はもうCygwinを使うことはないのですが、今もさまざまな事情でCygwinを使う必要がある人は一定数いるはずで、裾野を拡げることに貢献していると思いました。

このあたりに共感しました。

PicoRubyのコントリビュートをしていても似たようなシチュエーションは多々あるので、参考にしたいです。

Extreme MQTT on PicoRuby

https://rubykaigi.org/2026/presentations/ryosk7.html

「PicoRuby」「MQTT」という点で、タイトルだけ見ると本トークは自分のものとかなりテーマが被っています。 それ自体は採択結果が出るまで知らなかったのですが、本件のPull Requestの流れは追っていて、おそらく話の流れは全く別のものになるだろうと予想していました。

こちらのトークは「Raspberry Pi Pico上でメモリを極力節約しながらMQTT通信をできるようにしたい」というのが取り組みの動機でした。 自分が話した picoruby-net-mqtt はそこまで厳密にメモリの使用状況をモニタリングできていないので、聴いていて勉強になりました。 264KBでなんとかするのは厳しい...。

Will Messageに対応しているところなどは、ある意味 picoruby-net-mqtt よりも先行していて素晴らしいと思いました。

このトークでは自分が説明を省略していた用語についても丁寧な解説があり、前の日にそのあたりの前提説明がされた状態になったのはありがたかったです。

Matz Keynote

https://rubykaigi.org/2026/presentations/yukihiro_matz.html

まず、MatzとAIコーディングについて、2026年4月現在の温度感を聴けたのが良かったです。 ToDoリストが山積みな開発者にとってToDoをより速く消化できるのは嬉しいことだという話が、とても共感できました。 「AIに頼りすぎるのはよくない、でも頼らない手はない」と思っている自分にとって、「なぜ頼りたいのか」を程よく言語化できたように思います。

そして Spinel です。実はRubyKaigi中に同僚と「JITって何で途中までコンパイルするんだろうね?一気に機械語にコンパイルしてしまうのは難しいんだろうか?」といった雑談をしていたところでした。 AOTコンパイルはRubyのいくつかの機能(メタプログラミング等)を動かなくしてしまうので難しいものの、それらの機能を諦めれば実現自体は可能ということで、AIを活用したことで実現が加速したのだとするとそれは喜ばしいことだと思いました。

GoのようにCLIを開発するために使えるのでは、という期待があります。

今年のKeynoteの内容は、いつも以上に楽しくそしてワクワクしながら聴いていました。 動画が公開されたらもう一度観たいです。

イベント

PicoPicoRuby#12@コード懇親会Code Party at RubyKaigi 2026

https://picopicoruby.connpass.com/event/389163/

コード懇親会の会場にて開催されたPicoPicoRubyに参加しました。

自分は普段福岡にいるためPicoPicoRubyには参加が難しく、Discordサーバーで皆さんの成果を眺める日々でした。 この日に関しては今後の開発について意見交換をしたり、新しくPicoRubyに入門した方々をサポートしたり、といったことができてよかったです。

自分はこの日が登壇前日だったのですが、このイベントに参加したことでいい感じに 現実逃避 気を紛らわせること ができました。

@.bookstore at RubyKaigi 2026

今年も技術同人誌を置かせてもらいました。自分自身の登壇でMQTTを取り扱うということで、昨年頒布したこちらの本を10冊ほど持っていきました。

techbookfest.org

Day 3の自分の登壇前には完売していました。購入いただいたみなさまありがとうございました。

また、この本屋さんで 技術書を書く技術 を購入し、伊藤淳一さんにサインをいただきました。

伊藤さんとは フィヨルドブートキャンプ で5年近く一緒にメンターをさせていただいているのですが、リアルでお会いするのは初めてでした。 オフィシャルパーティでもフィヨルドブートキャンプの生徒たちを交えながら話ができて良かったです。

登壇

昨年に引き続きPicoRubyのお話です。今年もESP32上を主戦場としつつ、最終的にはクラウドと接続ができるところまで通信環境を整備したという内容でした。今年はmruby/PicoRuby関係者のトークが多く、私はその中でも最後の登場でした。

speakerdeck.com

発表内容については直近やったことというよりは、昨年の夏頃からじっくり取り組んできたことを30分の発表にまとめたものでした。これからPicoRubyを初めて何か機能を追加する人やIoTに挑戦したい人が、後から参考にできるような内容にしたつもりです。

PicoRubyに限らず、組込みのRubyからAWSに接続するというのは長い間私の悲願でした。理由は発表でもお伝えした通り、完全にプライベートで取り組んでいるPicoRubyの開発が、私の普段の業務に繋がることになるからです。 Connecting to the cloud が指す対象は PicoRuby だけではなく、「私のコミュニティへの関わり」も含まれていたというわけです。

発表の最後に5分ほどデモの時間を設けました。ここでは自分がやりたかったことを全力でやりました。デモが終わるまで不安が尽きなかったのも事実で、確実に成功させるのためにあらゆる手を尽くしました。これについては別途記事を書く予定です。

ホテルでデモ機の動作を確認している様子

おそらくではありますが、昨年より多くの人に聴いてもらえたと思っています。これをきっかけに「PicoRubyやIoTをやってみよう」という人が現れるとスピーカーとしては嬉しいです。聴いていただいたみなさま、ありがとうございました。

感想

組織としてRubyKaigiを楽しめている

RubyKaigiは自分が参加したいから参加していて自分がやりたいように楽しむ、というのが元々のスタイルだったのですが、昨年あたりから同僚にもそれが浸透してきています。

そして、彼らは彼らで「ヘルパーをやる」「(自分以上に)たくさんの人と話す」「コミュニティ活動に繋げる」「PicoRuby以外のトークを聴き、自分なりに深堀りする」といった、独自の楽しみ方を見つけ始めていて、とてもいいなあと思いました。

同僚に後から話を聴いて「自分が見えていないところでそんな楽しいことがあったのか!」と感嘆する場面がいつも以上に多く、そんな場面が増えるたびに嬉しい気持ちになりました。

『問い』に対する解を得て、そして新たな『問い』を持ち帰る

会期中に出ていたこちらのポストが、自分にすごく刺さりました。

「なぜRubyKaigiに参加するのか?」と聞かれたときの第一声は「面白いから」なのですが、何度も参加していると「面白いから」だけでは通用しない場面も出てきます。「エンジニアとして今後何に取り組みたいのかという『問い』を再認識するため」という解は、実態を上手く言い表していて腹落ちしました。

そして、今回のRubyKaigiでもそれを自分に問いました。結果として「次はこれをやりたいなあ」という解の芽になりそうなものがいくつか見つかった気がしています。PicoRubyへのコントリビュートを継続しつつ、それらに取り組んでいくつもりです。

来年また宮崎に、見つけた解を持っていきたいですね。